今日のアングラーたちにとって、バンブーロッドとはかつての時代の記憶を蘇らせてくれるものでしょう。釣りがもっとシンプルで、難しくなかった時代。バンブーこそが唯一のロッド用素材で、今ほど多様なロッドを作ることができるほど科学が進歩していなかった時代へのノスタルジー。しかし、私を含めた一部のアングラーは、キャスティングとフィッシングの両面において、バンブーをいまだに高く評価しています。私がモンタナの川で、生まれて初めてカットスロート釣りをしたとき、手に握っていたのはモンタギュー製のバンブーロッドでした。当時の私は、魚に気づかれることなくどうやってバッタを流そうか、ということに心を奪われていました。

 私の両親は、有名なマジソン・リバーの畔にあるエニスという町で、エル・ウエスタンというモーテルを経営していました。そこのお客でハワード・サイクスという人から、私はフライフィッシングを学んだのです。東部ニュージャージー州に住むこの人の指導で、フライフィッシングへの愛が育っていきました。ハワードはレナードのロッドがお気に入りでした。キャスティングや釣りを教えてくれる時、ときどきそのロッドを使わせてくれましたが、フライを落とす正確さとその優美さに、私は虜になってしまいました。

バンブーの伝統

 当時から、私はモーテルのお客に釣り場を案内したりしていましたが、しばらくしてそれが本業になりました。全米からマジソンやその周辺の川を釣るために集まってくるアングラーを、本格的に案内しはじめたのです。彼らは、お気に入りのロッドを持ってきていました。ウインストン、オービス、レナード、パウエル、ペイン、フィリプソン、ヤングなどの手になるバンブーロッドです。それらのロッドはバンブーロッドの精髄ともいえるものでした。時折は私もお客のロッドを使わせてもらう機会がありましたので、私はバンブーロッド経験を深め、またそれを愛するようになりました。私も自分用のロッドを集めるようになりましたが、その中には古いヘドン、フィリプソン、オービス・バテンキル、そして数本のウインストンがありました。1970年代前半まで、私はバンブーロッドしか使いませんでした。その頃は、私がいつか、あの有名なR.L. ウインストン社のオーナーになろうなどとは、夢にも思いませんでした。

 私がウインストン社を1973年に買収したときには、ファイバーグラスとバンブーの両方を製造していました。そのすぐ後、グラファイトが鳴り物入りで登場し、ファイバーグラスの地位はなくなりました。私がウインストンの社長だったとき、製造するロッドのほとんどはグラファイトかグラス製でしたが、私たちはバンブーロッドを作ることを決して止めませんでした。パートナーだったグレン・ブラケットと私は、バンブーロッドの伝統を大事に思い、ウインストンの歴史とフライフィッシングの歴史を止めてはならないと考えたのです。私たちはバンブーロッドのテーパーと製造法を改良し、さらにすばらしいロッドを目指し続けました。その作業により、私はロッドテーパーの作り方、実際のロッドの作り方を学んでいったのです。

 ロッド用素材としてグラファイトはとても人気がありますが、バンブーを完全に追い出してしまうことはありませんでした。バンブーロッドは、コレクションとしての価値ばかりでなく、すばらしいフィッシングの道具として認められているのです。その理由は何でしょう? おそらく最大の理由は、1800年代後半から、ずっと使い続けられてきたことでしょう。そして今に至るまで、数え切れないほどのロッドメーカーが、彼らなりの完璧なキャスティング能力とフィッシング性能を持つロッドを求め、デザインを繰り返してきたのです。それらの中には、芸術作品の域に達したものもあります。形と機能の面で、完璧に近い製品を生みだした人も多いのです。

 バンブーロッドは、天然素材ゆえの魅力が、宝石にも似たハードウエア、控えめなスレッドの色、丁寧なラッピング、美しいグリップ、ウッドシートなどと組み合わせられています。バンブー素材の色はもともと小麦色ですが、加熱処理を受けると濃いキャラメル色にまで変化します。その繊細なファイバーの模様は、輝くバーニッシュの下を走り、スレッドの色がその自然の美を強調します。素材としてのバンブーもまた、強度と耐久性において特筆に値します。何10年もまえに作られたロッドが、今も当時のままのキャスティングおよびフィッシング能力を保っています。達人といわれるビルダーたちによって作り出されたロッドの中古市場は相当な規模で、そんなロッドの多くがいまも現役として使われているのは素晴らしいことです。過去の名作と言われるロッドは、その性能のゆえ、そしてビルダーがもはや存命ではないという理由で、価値が上昇し続けています。

 現代のアングラーが、バンブーロッドについて忘れている、もしくは見落としていることがもう1つあります。バンブーロッドは、本当にすばらしい実用道具になりうるのです! 「バンブーロッド=すばらしい道具」という図式が必ずしも成立するわけではありませんが、その素材特性はすばらしいロッドを生み出す潜在力を持っています。どんな素材でもいえることですが、適切なデザインが重要です。バンブーはその重さのゆえ、すばらしいアクションを実現するためのハードルが、他の素材よりも高くなっていると思います。しかし、とくに軽量級トラウトロッドにおいて、バンブー素材の重量はスムーズなキャスティングを実現するための曲がりを作り出してくれるので、むしろ歓迎するべきでしょう。

 1990年代中盤、私はモーガン・バンブー・ハンドミルを発明し、デザインを完了しました。この革新的な道具を使えば、ロッドメーカーはバンブーを簡単に、正確に削ることができます。この道具は、ミリングマシンなどの大規模な投資を行う必要をなくしましたので、バンブーロッド・メイキングの長年の伝統を伝えてゆくことに貢献しているとも思います。

 1999年初頭、モンタナ州ボーズマンに住むアマチュアのロッドビルダーであるビル・ブラックバーンが、ハンドミルをオーダーしました。彼はそれまで、従来のプレーニング・フォームをつかって何本かロッドを作っていました。彼がハンドミルを受け取りに来たとき、私はハンドミルの組み立てを手伝ってくれる人を誰か知らないか、ビルに聞いてみました。偶然ですが、ビルもその時仕事を探していたのです。彼はアマチュアのロッドメーカーであったばかりでなく、工芸技術専攻で学位も持っていました。ロッド用のバンブーがどう加工されるかよく分かっていて、かつ機械にも詳しいビルは、ハンドミルを作る手伝いを頼むには最適の人材だったわけです。私はその場でビルを雇いました。 私たちがグラファイトのロッドビジネスを始めたとき、バンブーロッドを作ることは無理だろうと考えていました。ミリングマシンを作るのは大仕事だからです。それに、ジェリーがグラファイトとバンブーの掛け持ちをすることは不可能でした。しかし、ビルが参加してきたことで、ハンドミル関連の仕事ばかりでなく、実際にバンブーロッドを製造することも現実味を帯びてきたのです。3人でバンブーロッド製造の可能性を検討したところ、それはすばらしいプロジェクトであるとの結論に達しました。バンブーロッド・メイキングは、私たち3人の共同作業となります。私の発明したハンドミルにより、私たちもバンブーロッドを製造することができるようになったのです。


 ビルと私は、すぐにバンブー工房を作り始めました。オーブンを作り、適切な加熱処理ができるようにセッティングし、バインダーを作って調整し、また他の雑多な面も整備しました。その準備には、予想外に時間がかかりましたが、すべてが正しく機能するよう、慎重を期しました。

バンブーロッドのデザイン目標

 私たちが最初に決めたのは、限られた生産力しかない工房なので、本数もひかえめに抑えておくべきだということです。私たちは当初、合計で200本の限定生産を考えていましたが、150本に下方修正しました。また、長さとライン重量の多様なバリエーションを提供するのではなく、もっとも需要の多いであろう3モデル、すなわち7フィート3番、7フィート4番、そして7フィート半の5番という3モデルに絞ることにしました。ゆっくりと時間を掛けて制作、販売を行っていこうと思います。

 私にとって、フライロッドでもっとも重要な側面は、キャスティングおよびフィッシング性能です。すばらしいロッドとは、川での友人となり、ラインとフライを容易に、正確に運ばなければなりません。自然のシンプルさと美しさを経験するため、いつもの場所に行くときにはつねに携える、そんなロッド。悩みを忘れ、人生に折り合いをつける助けとなるような道具。私にとってのロッドとはそんなものでしたし、あなたにとっても同様であればよいなと思っています。

 この3種類は私の最後のバンブーロッド・デザインとなるものですから、性能面以外でも特別なものにしたいと考えました。ロッドのパーツ、チューブ、バッグは入念に検討され、実用性と装飾性の両方を備えるように配慮されています。このロッドが、あなたのお気に入りとなることを希望しています。

ロッドデザイン

 私のロッドデザイン哲学を理解していただいている人なら、私の提唱するロッドは、どんな素材を使っても、かつての時代のようによく曲がるものだということも分かっていただけると思います。そして、この曲がりこそ、バンブーをすばらしいロッド素材にするものだと思っています。バンブーロッドは、普通の釣りをする距離で曲がり、機能を果たすのです。私のデザインするロッドのテーパーは、多くのアングラーも好むプログレッシブ・テーパーです。ティップは適度な硬さを与えられておりキャスティングを容易にしています。そして、バットのほうに下るに従ってパワーは増してゆきます。このロッドを使えば、ナローループを投げるのも、繊細なデリバリーのためにすこしループを広げるのも容易にできます。 

 私たちはこのロッドに軽量スネークガイドを使用していますが、それはガイドとティップ重量による静止過重をできるだけ抑えたいからです。これにより、バンブーの繊細な感触が損なわれることなく伝わってきます。

 ロッドのテーパーデザインに関して、伝統的にはまず好みの基本テーパーを中心に数種のバットとティップを作り、それを組み合わせて煮詰めてゆくという方法を採ることが多いものです。私たちもそうしました。いくつもの組み合わせをテストした結果、その中で最高と思えるセットを選び出しましたが、それでもまだ改良の余地があると思えました。ですから、私たちはそれを中心にまたティップとバットの試作を行いました。その結果、2モデルでは最高の組み合わせが見つかりましたが、残りの1モデルではさらにティップの試作を繰り返しました。このプロセスは時間がかかりましたが、その結果はほんとうにすばらしいものです。試作品のキャストは、すべてダブルテーパー・ラインを使用しました。多くの人が試作品を振り、また実際に釣りをしてくれました。彼らは、私の新しいバンブーロッドは投げやすくスムーズなアクションで、素晴らしいバランスを持っていると言ってくれています。

使っているバンブーについて

 私たちは、実際に中国にいって自分で竹を選別するブローカーから素材を仕入れています。彼は広東の小さな村まで出かけて行きますが、その場所こそ、1920年代にトンキンバンブーをArundinaria amabilisと名付けたF.C.マックルアーが「トンキンバンブーのメッカ」であるとした土地です。

 そのブローカーによると、その村はかつてとあまり変わっていないということです。竹材を集めるのはいまだにゆっくりとした作業です。竹は手で刈り、小さな束にして川辺に下ろします。川辺では、砂を使って竹を磨きます。次に、竹でいかだを組むか、ボートに乗せて川を下るわけです。下流の集散地では、乾燥、仕分けが行われ、10本の束にされて発送が行われます。

 私がウインストンで扱っていた竹材は時として難がありましたが、このブローカーから仕入れる竹は高品質です。ナイフで刻んだグローワーズ・マークはありませんし、火入れによる損傷もありません。中国で、まっすぐでない竹、傷や変色の甚だしい竹、パワーファイバーが薄かったり密度のない竹は、すべてはねられます。その結果、私が手にする竹は、いままで見たこともない高品質のものとなりました。さらに、私たち自身でも選別を行い、わずか5〜10%を残して全部廃棄します。

 私たちは、曲がりのなさ、パワーファイバーの太さ、密度、そして表面の美しさを基準に選別を行います。私たちが選別作業を始めたとき、ビルはその基準を信じられなかったようです。機能面での、そして美しさの面でも、私は最高の水準を求めています。バンブーロッドは、最高の素材と職人の技を反映しなければならない、というのが私の主張です。バンブーの事前準備は、バンブーの素材特性を損なわないように行われます。私たちは手作業で節を落とし、加熱してやさしく押し、ファイバーを傷つけることなく伸ばします。このプロセスで節のファイバーを伸ばしておくと、接着したときに曲がらないストリップができるのです。

 加熱処理は綿密にモニターし、適切な色と硬さが生まれるようにします。これはまた、バンブーの弾力性も向上させ、くせが付きにくくなります。最後のステップは軽くアンモニアガスを通すことで、これによってリッチで暖かいバンブーの色が引き出されます。

 下ごしらえが済んだバンブー材は、適切なテーパーを安定して削ることのできるハンドミルで加工されます。ロッドを軽量化し、軽快感を増すため、バットとティップの両方がホロー・フルート加工されています。

バンブーロッドの仕上げ

 軽量なブランクのデザインに組み合わせるフェルールは、短いスーパースイスタイプのデザインを採用した、ニッケルシルバー製です。高品質なバンブーロッドの例にもれず、私たちの作るロッドも2本のティップが付属しています。ロッドにフックキーパーはつきません。

 このユニークなロッド群には、さらに細部にもこだわっています。バット側のフェルールには、ロッドチューブのキャップのデザインを踏襲した、ニッケルシルバー製のプラグが付属します。ワインディングチェックもニッケルシルバー製で、バンブーの形にマッチするように内側も含めて6角形に成形されています。

 ロッドの重量をできるだけ押さえ込むという目的のため、ガイドは強度と耐久性を確保しつつ、最低限のスレッドで固定され、頑丈なバーニッシュがかけられています。ロッドに書き込まれているのは、長さ、ラインサイズ、シリアルナンバー、そして制作年です。シリアルは1/200、2/200、3/200という具合に進んでゆきます。オーナーの名前も、シャフトに書き込まれます。ロッドの仕上げは、高品質な船舶用スパー・バーニッシュを使用しています。

ロッドを注文する

 私たちが作るバンブーロッドは、ロッドビジネスに長年たずさわってきた私の経験に基づくものです。その年月を経て、やっと私は「ありきたりのロッド」と「すばらしいロッド」を区別することができるようになりました。フライロッドを作ることで生活をしてきた私ですが、その仕事はビジネスベンチャーというより、私が愛するものを他の人と共有することでした。私が授かったユニークな才能というのは、すばらしいフライロッドに必要なことを理解し、その知識をアングラーが好むロッドという形で表現する能力だと思います。

 ジェリーと私は、トム・モーガン・ロッドスミスというブランドの下に、美しさと素晴らしい機能を兼ね備えたロッドを作り、名声を博しています。そして、ビル・ブラックバーンがチームに加わり、美とデザイン、そして機能の面で私たちの創造力を表現する、他に例のないバンブーロッドを作り上げることになりました。この新しいバンブーロッドは、遠からず伝説になり、オーナーの皆様の宝物として愛されるでしょう。

 私たちはオーダーを受けた順にシリアルナンバーを発行します。予約金としてロッド価格の25%をお納めいただき、残金はロッドの最終組み立てが開始される段階でお支払いとなります。ロッドは、残金のお支払いを頂いてから4ヶ月以内にお届けします。

 手付け金をお支払いいただいた段階で、お客さまにはシリアルナンバーと完成品の納期をお知らせします。ロッドの納品が終わると、次のお客さまから手付け金を頂くという形で進めます。ご注文を頂いた順にリストを作り、製作はそれに則って先着順に行います。お客さまにお知らせした時期から1ヶ月以内に予約金をご送金ください。予約金の請求は当方から行いますが、もしそこでキャンセルをなさりたい場合には、リストの次の人に購入権が移ります。

バンブーロッドのスペック

 ロッドは2ピース、2ティップで、メノウのストリッピングガイドを与えられます。金属部はニッケルシルバーのスライドバンド・シート&フェルール、ブラックのシート&ブラックのフェルール、もしくはニッケルシルバーのアップロック・シート&お好みのウッドと言う組み合わせから選んでいただきます。ハンドルはシガー、ハーフウェルズ、あるいはカスタムのデザインが可能です。ロッドには特注のクロスバッグ、当社独自のアルミケース、そしてケース保護用のバッグが付属します。

3番
注意深いプレゼンテーションと繊細さが求められるドライフライやニンフの釣りに。甘い感覚のキャスティングが行えるロッドです。素早い打ち返しで渓流で小型の魚を釣るのにも適しています。小型のフライと繊細なティペットを使うために、細いティップを与えられていますが、中距離までは容易にキャストできるバットのパワーもあります。

4番
軽量で軽快なロッドです。使うのが楽しいロッドで、多くの人にとって標準的なライトラインのロッドでしょう。デリカシーが重要とされる多様な状況に適していますが、多少の風なら問題なく使用できます。プログレッシブ・アクションを持っていますので、小型のウエットフライや中型までのドライフライを使うことができます。

5番
中規模までの釣り場で、多様な大きさのフライを使うことできる、キャスティングのスムーズなロッドです。実釣のレンジは広く、かなり厳しい条件でも使うことができるでしょう。どんな状況を想定して良いのか分からないときには、すばらしい選択肢となり得ます。ロングリーダーを使えば繊細さも確保でき、ショートリーダーに交換すれば風を切り裂いてキャストできます。使用が容易で、かつ楽しいロッドといえます。

Line Size Length Action Typical Fishing Distances
3 7 foot medium-fast 20'-40'
3 7'3" medium-fast 20'-40'
4 7 foot medium-fast 20'-45'
4 7 1/2 foot medium 20'-45'
5 7 1/2 foot medium-fast 25'-50'

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Manhattan, MT 59741

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Fax: 406.282.7167
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中国でのバンブー材の収穫と加工。
写真:アンディ・ローヤー